白洲次郎をよむ

気だるい日本の夏にはボサノバがよく似合う。ボサノバが生まれたリオデジャネイロもこんな気候なのかな … 。

それはさておき、気だるいさなかにある八月の中頃は、本を読むのには意外といい季節かもしれない。

きょうは終戦記念日だから、それにちなんだ読み物をということで、「白洲次郎 占領を背負った男」という本をAmazonでさがしあてた。

この本の主人公である白洲次郎は、日本国憲法が作られるときにGHQとの折衝役を任された人物で、戦後は吉田茂首相の右腕として、またブレーンとしても活躍したことで知られている。

白洲次郎というひとは歴史の教科書にはでてこないからあまり知られていない。謎が多い人物だから「風の男」なんていうキャッチコピーとともに紹介されることもある。

英国仕込みのマナーと喧嘩っぱやい性格、日本国憲法制定への貢献と財界での黒いうわさ … これらはとても矛盾している。

だけど、矛盾やギャップが大きいひとほど、周囲のひとの興味を引くものだ。

といっても、ふつうのひとは、端正なルックスで、英国仕込みのおしゃれなセンスを身につけていて、80歳までポルシェに乗っていた … というだけで、十分に興味をもったりファンになったりするとは思うのだけど。

現に、わたしも白洲次郎のファンを公言する起業家をひとり知っている。

白洲次郎が実際にどんな人物であったかは、もはや知りようもないけど、虚実がわからないうわさがたくさんあるということは、味方も敵ももたくさんいたということなんだと思う。

(ドラマや本のなかで描かれる白洲次郎という人物には多少の脚色がされているような気がする。)

それでも、多くのひとが白洲次郎という人物に興味をもっていることはたしかだし、もちろん歴史的にみても重要な人物といえる。

そんな人物が、どのように日本国憲法制定にかかわったのかを知る手がかりとして、この本は役立つ。

じつはこの本、ずいぶんまえに買って読んでいたのだけれど、部屋を整理するときにいちど捨ててしまっていた。それでまた読みたくなってKindleで買いなおしたというわけ。

それほど歴史にくわしくないわたしが夢中になって読んでしまう歴史の本はめずらしい。たぶん、この本が単純に読み物としておもしろいっていうことなんだろうね。

本を読んでいると白洲次郎という歴史上の人物にどんどん引き込まれていく。

でも、わたしが白洲次郎という人物に共感するのは、財界人として活躍したりポルシェを乗り回したりしていたところではなく、漱石の”坊ちゃん”のような性格といわれるようなところだったり、日本が戦争に熱狂するなか、とつぜん「農夫になる」と言って武蔵野に移住してしまうようなところだったりする。

こういう共感のしかたができるということは、まあ、この本も、白洲次郎という人物のように、いろんな読み方ができる本ということなんだと思う。

だからおもしろいのかなあ、この本 … 。