一物全体

野菜の皮などを捨ててしまうひとは多いのではないだろうか。わたしの印象だと、けっこう皆大胆に捨てている。

その捨てられてしまっている部分は、じつは栄養的にも価値があって、また美味しく頂ける部分なのだが、そのことはあまり知られていない。

野菜の皮などは、ちょっと手を加えることで、美味しいおかずに変身させることができる。葉や皮の部分は塩をふってかるくもみ、少量の酢をくわえれば、即席のお新香になる。かぶやにんじんのヘタなどは実といっしょに水から煮て味噌汁にしても美味しい。

捨てられてしまう「くず野菜」と呼ばれる部分は、きれいに洗い冷蔵庫に保存しておけば、洋風や中華風のスープをつくるときにもスープストック(スープのベースとなるダシ)の材料としても使うことができる。

たまねぎの皮をスープストックにしたり、お茶の葉の代わりにして健康茶として飲んでいるひともいる。

果物もりんごなどは皮ごと食べるほうが美味しいし栄養も取れる。野菜や果物の皮にはポリフェノールなどの栄養成分がたくさん蓄えられていて、それが人の身体にもよいらしい。

農薬は気になるところではあるが、それを勘定にいれても、野菜や果物は皮ごと食べるほうが良いというひともいる。とはいえ、農薬は塩水につけたり洗ったりして家庭でも極力取り除くに越したことはない。

中国の伝統的な食の思想や、「マクロビオティック」と呼ばれる健康法では、食材を丸ごと食すという考え方があり、この考え方は「一物全体(いちぶつぜんたい)」と呼ばれている。

そうした健康法が、ほんとうに身体によいかどうかはたしかめようもないが、野菜や果物は、できるだけ余すことなく調理して食すほうが無駄がなくていい。

しかし、男性がめったにしない料理をして、くず野菜なんかを大事にとっておこうものなら、「そんなものとっておかないでよ!」と同居人から嫌悪の目を向けられるかもしれない。

もしあなたが文句をいう立場なら、くず野菜を大事にとっておこうとする夫や彼氏を邪険にしないほうがいい。かれはあなたの健康を気遣ってそうしているのかもしれないのだから。